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[C82]

酒さんって物書きな人かしら。と思ってしまった・・・。
  • 2012-09-07 22:29
  • ami
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[C85]

>あみさん
ううんー書いてないよー
ただ文章書くのはけっこー好きだから、書いてるだけだよ~!

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マビノギオン◆03


人生は近くで見ると悲劇だが、
遠くから見れば喜劇である。

【Charles Spencer Chaplin, Jr / 1889 - 1977】




雪だ。雪が降っている。
幾度ものサーオィンが過ぎた。
春が来て鳥が囀り、夏が来れば大地を潤し、秋になれば五穀豊穣。
そして冬は月見酒、無垢の世界が凍てつく風に煽られる季節だ。

ダンバートンへ帰還した後、面倒な立ち寄りがいくつもあった。
その為帰る頃には季節は冬の真っただ中、数か月前までは実りの季節だったというのに、美味い物も食えず大損だ。
溶けた雪解け水を吸ったふやけた革靴で法皇庁に到着したと思えば、セントクリスマスがどうのと周りが盛り上がっており、遠征していた汚れだらけの私を見るなり、司教徒共は口揃えて臭いだの風呂入れだの交互に言葉を並べ、今まさに逃げるように部屋へ帰ってきたのだ。

 「…この仕打ちか……」
厭々な気持ちで腰に下げたブレイスナックルを無造作に外す。
ごとりと鈍い音を立て、床に転がる白銀の小手。
若干血がこびり付いているのは歴戦の証だ。
靴も脱ぎ捨て、鎧を外して泥だらけの足をべたべた床にひっつけながらバスルームへと入る。
掃除するのは私では無いし、慈愛の元に教徒達が清掃を行ってくれる。
信仰心があって良い事だ、ぜひ今後とも、あわよくば私の背中も流して頂けると助かるのだが。

バスタブに湯を張り、背筋の寒さから逃れてそのまま入る。
体に出来た擦り傷や切り傷に湯が沁みる。
土くれや血糊もぼろぼろ溶け落ち、湯もやや濁りを増す。
体をしっかり洗ってから風呂に入れと、昔々から彼女に口酸っぱく言われていたが、足が棒で筋肉疲労の塊となった私に体を洗えと、それは無理な話だ。
第一に面倒くさい、それだけだ。

そういえば、私と彼女が法皇庁で出会ったのはいつ頃だったか。
私がまだ大人の脚丈程の身長しかない頃、ペンカスト枢機卿に引き取られてここに来た記憶がある。
私が後で、彼女は既にここに居た。その時からの立場上では先輩と後輩の関係にあるが、年齢では私の方が1つ2つ程上なのは見て分かった。
出会った頃の彼女の瞳はイリア遥か東に広がる海原の様に青く静かだった。
だが、その瞳には幼少にして憂いを秘めていた。
私は身寄りのない孤児だったが、彼女もそうなのかは分からない。
面倒くさいが故、余計な詮索はしない主義の私にとってはどうでもよい事だ。

栓を抜きバスタブの汚水を流し出す。
後頭部の壁に付いた蛇口を捻り、火傷しそうな熱々の湯を注いで暫く待つ。
窓の外を眺めて雪を見て、空虚な時間を水音の跳ねる音だけで埋めていく。
しかし束の間の静穏は、ノック音の後の叫びで遮られた。

 「なっ 何ですかこの泥は! ああっ、汚れだらけで…」
憤る甲高い声が扉一枚向う側で聞こえる。

 「いつもの事だ」浴室に声を響かせ「片づけておいてくれると助かるんだが」
 「自分の物は自分片づけなさい! 3ヶ月の遠征から戻ったと聞いて来てみればっ」
 「だから、いつもの事じゃないか」
 「あなたには自分自身の心を見直す姿勢が無いのですかっ」
 「すまないがバスタオルを取ってくれないが、持って入る事を忘れてしまった」
 「人の話を聞いているんですか!」
 「…じゃあ自分で取りますよ」

勢いよくバスタブから全身を引き上げ、水を滴らせながらドアへ近づきドアノブを回す。
が、猪でも突進してきたかの様に扉に衝撃が走り、その後からドアノブをいくら押しても開く気配がない。

 「すまない、出られないんだが」
 「――――人の話を聞きなさいっ!」
 「湯冷めしそうだ、体調崩したらコレンティン司教様にやられたとペンカストの爺さんに言うぞ」
 「………。 ちょっと待っていなさい」

ふっと扉の重力感が消える。
恐らく私のクローゼットからバスタオルを持ってきてくれるのだろう。
暫く扉一枚向う側で待つが、クローゼットを開いたり閉じたりする音しか鳴らない。
教徒共なら場所の位置は正確に把握しているだろうが、場所が分からない者が探し始めたらいつの事になるのやらだ。

扉を開けてみると、司祭の服を着た黒髪長髪の女、コレンティンが延々とクローゼットの中を迷いながら漁っている。
私は整理整頓する性だが、実をいうと彼女は私と真逆で整理整頓がど下手だ。
だから整頓されていると探している物が見つからない。収まる場所が分からないからだ。

「ねえギュス。物が多すぎて分かりません、どの辺りあるのですか」
「今見ているクローゼットの右側奥だ」

右側奥とぶつぶつ洩らしながら手探りで腕を伸ばし、引き出してみると手には大型のバスタオルが一枚握られていた。
ああ、ありましたこれですねとコレンティンが此方へ振り向く。
そして目と目が合う。当然だ、場所を教える為に扉を開けて指示していたのだから。

「いい働きだ」硬直するコレンティンに「そいつを早く渡してくれ、風邪を引きそうだ」

はっと我に返ると、悲しいのか苦しいのか、なんとも言えない表情で、眉間に皺を寄せて部屋を飛び出して行った。
途中で廊下奥の昇降階段だろうか、転げ落ちるような音が鳴り響いていたが、大丈夫だろうか。


コレンティンが居なくなった後、そのままクローゼットへ近づいた時、私は茫然とした。
バスタオルが無い。彼女が握って持ち去ったのが最後の一枚だったのだ。
素足に登る地の冷たさが身に染みる。
全くもって、ここに帰ると碌な事にならない。




===================

←マビノギオン◇2 マビノギオン◆4→


【メモの裏の走り書き】

2時間くらいでここまでずららーっと書きました。
どうもさけです、おーばんです。

おばんですとは仙台弁で「こんばんわ!」っていう意味ですよ!
Oh! バンデスっていうローカル番組があるくらいですからねー!

今後のSS切り分けとして。
==================
◆…ギュス編
◇…ジョバンニ編
==================
として分けたいとぞんじまする。

こんごもゆっくりじっくり
気が向いたらSS更新していきますだー
よろしくですよー


.
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ううんー書いてないよー
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