Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://amazakeshuzoh.blog.fc2.com/tb.php/38-797ea5f9

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

マビノギオン◆04


謙虚な愛は、暴虐よりずっと効果の多い怖ろしい力である。
「カラマーゾフの兄弟」より

【 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー 1821/11/11~1881/02/09 】



誰が為に祈り、誰が為に救うのか。
昨今の教義は過去の栄光であり、もはや全体主義の形骸にしか過ぎない。

今では人は己の為に祈り、
他人を顧みることなく視野を狭めている。

ここで教義は意味を成さず、そして神は死んだ。


.

体を迫り出す様に前へ前へと押し出して行く。
左上前方から落ちるような打撃が迫るが、
体捩って交し、左足を軸にして至近距離へ詰め寄る。

当然離れるであろう体躯を、
腰につけたベルトをがっしり握って動きを止める。
ぐんと引く重さでバランスを崩すが、
腕の引き戻す勢いをバネにして、利き手の右腕を肉の柔らかい部分へ打ち付ける。

触れた感触は柔らかく、絹を手で押すような感覚だった。
構わず押し切り拳一本程が埋まった頃、相手の体躯がずるずると力なく膝を折る。
体躯から引き戻した拳はぬらぬらと体液で湿り、濡れていた。


その者は野盗であった。
身の丈2m以上はある体躯が、
水中で溺れる様な声色で、大地に横たわっている。
ごぼごぼと、ただ口元から体液を流し、目は見開いていた。

厳冬の真っただ中で轟々と吹雪く中、
まさか野盗がいるとは誰が思うだろうか。

生暖かい鮮血が白雪の上を、じんわりと犯し広がる。
最早呼吸音は聞こえず、雪原に伏せた大男は絶命していた。


タルティーン西部、鬱屈とした森林、一人の男が佇んでいた。
ブロンドの髪を後ろに結い、暫くは剃っていない無精ひげを生やして、
冷気に触れて冷たくなったグローブをウエスで拭っている。

その目には淡々とした心が映えており、
何も感じず、ただ黙々と付着した血糊を切っていた。
グスタフの日常がそれである様に、ただ物事にはいつも沈黙であった。



聖堂へ帰り、タルティーン西方への派遣が確定したのは、
それほど日数の経たないある日の事であった。
厳冬が続く中、タルティーン西部雪原上で野盗が多々目撃され、
通る旅行者を殺し、信じ難いことに、その肉を喰らい糧にしていると。


あわや片割れを喰われた被害者は慈悲を乞い、
死者も等しく報いを乞う。
我々はすべき「それ」を享受し、全うせよと。

我々及び求める者等しく
希望であり、
愛であり、
兄弟であり、
そして心であると。


轟々と風がうねり、雪の波が顔にへばり付く。
体温はみるみる内に下がりきり、
体の末端から氷の様な異物感を感じる。

足を踏み鳴らし、辺りを見渡す。
点々と赤く染まった吹雪く雪原の上、
多数の亡骸が横たわっている。魂が無い今や、ただの肉塊である。

亡骸をよく見ると、随分と質の良い装備をしていた。
しかし、その服装は旅行者から剥いだ服装である事は容易に分かる。
鞣された革靴、切り傷で痛んだパンツ、上半身のみのレザーメイル。
実にちぐはぐな格好をしていて、どれもそれもが略奪品である事は確かだった。


彼らは強盗、殺人を犯した罪人であり、
それ故、討伐として自身の手で裁かれた事は間違いではないと思っていた。

だが、殺人とは罪であると、教義にはあった。
だから仕方がない、これも世の為だと言い訳になるのだからと。

何事にも正しい物は無い。
正しいかどうかを定めるのは、
いつの時だって言い訳がましい理由ばかりだからだ。

なんてことはない、
それが結果として歴史になり、英雄となる。
それを作るのが人の愛であり、慈悲であると言うのだから。
しかし歴史は死の上に立つものだとグスタフは理解していた。



轟々と響く風切り音の中、
自らに向かってきた銀色の閃光を、
冷え体を捩り、躱し、拳で払い除ける様にして易々と撃ち落とす。

地に転がるナイフを一瞥し、暗く轟音の鳴る林前方を見据える。
自身の身長の半分もない小柄な姿。
親の亡骸から取ったナイフ片手に、
淀んだ殺意の眼差しでグスタフを見つめている。

再びグスタフは走る。
赤い雪を踏み荒らし、嘘ばかりの拳を振り上げ―――










←マビノギオン◆3 マビノギオン◇5→




どぎつい。
寝起きにウォッカ飲んだ感じっていわれました、まる。




この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://amazakeshuzoh.blog.fc2.com/tb.php/38-797ea5f9

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Author:熱燗甘酒
2012年度ぺんぎん

◆マビノギ キホール7ch
◆熱燗甘酒
 (あつかんあまざけ)
◇ペンギンローブいのち

ぺんぎん帝国人口推移

ペンギンついーと

検索フォーム

※帝国同盟アンテナ※

開拓の為、ブログでほわほわしたらクリックの程、ご協力いただければうれしーです!

甘酒酒造バナー

リンクフリーです!
ぺん帝
※バナー募集中です~!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。